2022.10.3
プレスリリース

メルカリ・京都大学・UR都市機構、高齢者の心身の健康とフリマアプリの利用に関する共同研究を開始

フリマアプリ利用で感じる“社会とのつながり”が健康及び健康的生活に向けた行動変容に与える影響を調査

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリ(以下、メルカリ)、京都大学大学院医学研究科 社 会疫学分野(以下、京都大学)及び、独立行政法人都市再生機構(以下、UR都市機構)は、「高齢者の心身の健康とフリマアプリの利用」に関する共同研究を開始することをお知らせいたします。

実施背景及び研究目的

内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、現在、65歳以上の女性の約5人に1人、男性の約7人に1人が一人暮らしであり、2040年推計では女性の約4人に1人、男性の約5人に1人が一人暮らしになるとされ、高齢者の一人暮らしは徐々に増加傾向にあります。※1また「同居者以外の人との交流と心身の健康には密接な相関性がある」という研究結果※2もあり、他者との交流の機会の重要性が示唆されています。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全世代的に外出を控えることにより他者との交流機会が減少している状況に対し、社会的な支援・介入等の対策が必要とされています。

このような中、2021年3月にメルカリ総合研究所(運営:メルカリ 以下、メルカリ総研)が実施した「COVID-19拡大に伴う60代以上の意識・行動変化とフリマアプリ利用に関する調査」※3では、60代以上 のフリマアプリ利用者の約3割が「売買相手に対して親近感を感じる」と回答しており、フリマアプリの活用を通じて多様なつながりが生まれていることを示唆しています。

また、UR都市機構は、社内の新規事業検討制度において、高齢者も含めたUR賃貸住宅にお住まいの お客様の多様なニーズに対応すべく、⺠間事業者との連携を通じてUR賃貸住宅の更なる活性化やコミュニティ形成を模索しています。その一環として、メルカリとUR都市機構は昨年度から、実際に千葉県八千代市のUR賃貸住宅に、お住まいのお客様のニーズに基づき、フリマアプリの活用を契機とした、フェイス・トゥ・フェイスのリアルなコミュニティ形成を実証してきました。

上記の背景を踏まえ、フリマアプリ利用で得られる“他者や社会とのつながり”が、健康及び健康的生活に 向けた行動変容に与える影響を調査するとともに、その中で「リアルなコミュニティ」が果たす役割を検証するため、健康格差の是正に関する提言を行うなど社会疫学の専門家である京都大学大学院医学研究科 社会疫学分野 近藤 尚己教授の協力を仰ぎ、三者共同研究の実施に至りました。

※1:出典|内閣府「令和4年度高齢社会白書」第1章第1節 3 家族と世帯
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf
※2:出典| 健康指標との関連からみた高齢者の社会的孤立基準の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/62/3/62_14-071/_article/-char/ja
※3:出典|COVID-19拡大に伴う60代以上の意識・行動変化とフリマアプリ利用に関する調査
https://about.mercari.com/press/news/articles/20210330_covid19_survey/

具体的な研究手法と今後のスケジュールについて

令和4年度中に、UR賃貸住宅にお住まいのお客様などを対象として実施するメルカリ教室の参加者などに向けて、健康や生活についての事前アンケート調査を行います。メルカリ教室の実施中や実施後にも同 様の調査を行うことで、メルカリ教室への参加やメルカリ等フリマアプリを利用することが利用者の皆様の生活状況や健康状態にどのような影響をもたらすかについて、統計的に検討します。

令和5年度以降、メルカリ教室の実施方法を工夫し、メルカリ教室の内容による効果の違いなどを検証することも目指します。

京都大学大学院医学研究科・医学部 教授 近藤 尚己氏のコメント


他の人々とのつながりには禁煙に匹敵するほどの健康効果があることが多くの研究で示唆されています。新型コロナウイルスのまん延で、様々なサービスがオンライン化する一方、対面の交流が抑制されている実態があります。そのため、インターネットを使える人と、そうでない人との間の生活の格差:デジタルデバイドを抑えなければなりません。UR賃貸住宅で行うメルカリ教室は、オンラインを通じた新しい社会参加の機会を提供することとなります。また、教室の場などでの新たな対面のつながりづくりにもなります。その結果、住⺠同士の交流を促進し、健康にも貢献すると期待しています。オンラインサービス企業と住宅供給事業者がコラボしたこのプロジェクトに大変期待しています。